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鑑賞096「複」 [百題百日2008]

今日は96日目。「複」の題の歌です。
この字を含む単語はたくさんありますし、自分の方にひきつけやすい言葉も多かったのではないでしょうか。
それでは、一首ごとの鑑賞を。

船坂圭之介 (kei's anex room)
既にして姿消したり複葉機をさなきわれの夢の一つが
複葉機は形が独特で、ファンが多い。サン=テグジュペリが乗っていたのが、確か、これですね。
作者の年齢を考えると、空軍にあこがれて、ということもあるかもしれないが、それ以上に、単純な、子供らしい、空への憧れが複葉機を選ばせたのだろう。
第2次世界大戦の時にすでに、単葉機が主流となっていたようだが、現在では農業用やアクロバット飛行用に少数残る程度。

原田 町 (カトレア日記)
複線にならぬわが駅つばくらめ今年も無事に子を巣立たせり
「複線にならぬ」とわざわざ、あるのは、そういう計画があったのではないか。
作者の住まれている場所は知らないが、大都市の通勤圏の端っこあたりを考えてみた。
大都市の周辺部がどんどん広がって行き、人々が、遠くても庭付き一戸建てを求めた時代は、住んでいるうちにもっと便利になるだろう、という期待があったことだろう。
しかし、時代は変わり、そういうところに家を構えた人も、もっと便利な都心のマンションへと移って行く人が多くなった。
そして、町は発展するどころか、寂れて行く一方。
けれども、人の移動はあっても駅舎に燕はまたやってきて、巣を作るのだ。
変わらないものを2つ並べながら、そこには描かれていない、変化したもの、を想像させられる。

夏椿 (夏椿)
複眼のひとつひとつにこの秋をやきつけて逝けとんぼもひとも
持ちえぬものの一つとして、ひとは複眼にも時にあこがれる。
たくさんのレンズに映った像は万華鏡のように思われる。
いちめんの紅葉の時期。
このような景色を瞼に焼き付けて人生を終れたら…というような憧れを呼ぶ。

桑原憂太郎 (桑原憂太郎の短歌Blog)
複数の証言あはせ砕かれた人体模型の始末書つくる
被害に遭ったのが「人体模型」なので、どこか、殺人事件の調書のような趣になっているのが面白いところだと思う。

勺 禰子 (ディープ大阪・ディープ奈良・ディープ和歌山)
複写用カーボンをまだ使ってる職場に絶滅危惧種の多し
これは、たぶん真理だろうな、と思う。
要するに、過去の繰り返し以外の仕事をやりたがらない職場なのだ。当然、時代に適合した事務能力など育っているはずもなく、「絶滅危惧種」となって行く。

やすたけまり (すぎな野原をあるいてゆけば)
春はまだ始発列車の風もまだ はばたくまえの羽状複葉
まだ、芽を出したばかりの丸まった羽状複葉だろうか。羽状複葉の葉は、広がってしまうと、あんまり羽のようには見えないと思うのだけれど、大きな、とても一枚分とは思えない葉を丸まって抱えている様子は眠る小鳥のようだ。
葉っぱ春を待つ歌。

遠藤しなもん (忘れちゃった。)
複数になると形が変わっちゃう単語みたいに強気になった
思わず、笑ってしまった比喩。toothがteethとか、とかになるやつ、ね。アンテナの複数形は何だっけ…。
それなりに理由があるんだろうけれど、学校で覚えさせられる側としては、何と強引な!という感じだったものね。
力でねじ伏せるって感じだ。

幸くみこ (わらびもち食べたい)
代々木への踏切のなか 西の陽は複雑にからむ線路の上に
三句以降、そうだ、世の中にはこんなに美しい光景がある、ということを思い出させてくれた。
カーブした線路と直線の線路が複雑に絡み合っているところを夕陽が照らしているのだ。
しかし、初句二句がよく分からなかった。代々木駅の手前にある踏切の中のことなのか、と思うけれど、ちょっと表現に無理がありそう。

~~~~~
さきほど、マウスをデスクから落とっことしてしまったのですが、それ以来、クリックしても、反応が鈍くって。思いっきりおしこまないと、認識してくれない。ただでさえ、腱鞘炎ぎみなのに、困ったものです…。
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コメント 4

原田 町

きりこさま
ありがとうございます。私のうたった以上のことを鑑賞していただき感謝しております。腱鞘炎ぎみとのこと、大事にならぬようご回復願っております。
by 原田 町 (2009-02-13 10:23) 

kiriko

原田様、こんにちは。
腱鞘炎は持病のようなもので、だましだましやっています。
マウスのクリックぐらいで、と思うのですが、こんなことでも気を付けないと、痛みがすぐに肩まで届いてしまうんですよ。
幸い、マウスの反応の方が、少し回復したので、だじょうぶそうです。
ご心配おかけしました。
by kiriko (2009-02-14 09:01) 

すぎな

ありがとうございます&おだいじに。

今読み返すと、「はばたく」と「羽状複葉」はちょっとつきすぎだったかも……(汗)
線路のそば=田んぼ、という場所で育ったので、カラスノエンドウとかレンゲソウのイメージです。
by すぎな (2009-02-16 17:09) 

kiriko

すぎなさん
心配してくださって、ありがとう。でも、大丈夫そう!
>線路のそば=田んぼ
そんな感じは歌から受けましたよ。
私が今住んでいるのは線路どころか、駅の前が田んぼですが、心地いいものですね。(不便なのは、ちょっと困りますが)
by kiriko (2009-02-16 21:13) 

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