So-net無料ブログ作成

鑑賞095「しっぽ」 [百題百日2008]

本日、95番目の題は「しっぽ」です。
この題の難しさは「尾」ではなく「しっぽ」というところでしょうか。
ちょっと幼児語的な感じがあるので、使う場を選ぶように思いました。

それでは、1首ずつ鑑賞していきます。
まずは、動物のしっぽの歌から。

橘 みちよ (夜間飛行)
出窓より外を眺める猫ときにひとりごと言ふしつぽ揺らして
犬と猫、人間と動物の出てくる場面では、圧倒的に犬が多かった。そして、その犬たちはほとんど皆、作中の人物にしっぽを振ったり振らなかったり。
この歌の猫は、作中の人物など眼中になく、勝手にしっぽを振っている。それがいかにも猫らしい。
しかも、独り言まで言っている。
そのような猫の姿は、どこか、コミュニケーションが苦手な人間の姿をも思わせる。

つばめ (ツバメタンカ)
足音に向けてしっぽを振ることの他は自由を持たぬ老犬
年老いて、身動きもままならなくなった犬。駆け寄って行くだけの力もないのだろう。
しかし、それでも精一杯の力で親しい人間にしっぽを振るのだ。
こちらはいかにも犬の生き方、という感じの歌だ。

萱野芙蓉 (Willow Pillow)
並んでは歩いてくれぬ弟よ、しつぽの切れた栗鼠を見たかい
思春期を迎えた男の子は身内のものとも肩を並べて歩くのを嫌がるようになる。
年齢特有の照れだろう。
一緒に歩いていたら、しっぽの切れた栗鼠を見て、すぐに話すことができるのに、それができない間柄になってしまった。
そして、その栗鼠を見ていない可能性の高い弟。姉弟の間の共通の話題が一つずつ減って行くのだ。

近藤かすみ   (気まぐれ徒然かすみ草)
愛猫を手放すやうに歌おくる時の間白いしつぽが揺れた
パソコンから歌を送る場面だろう。
モニターの画面が切り替わる時、そういえば、しっぽのようなものが横切るような気がしてきた。

行方祐美 (フーガのように)
雲のしっぽひょろんと伸びる春ひと日嬰児の泣く波のありなん
こんな雲はやはり、春の日が似合う。
嬰児の泣き声が、大きくなったり小さくなったりするのも、のどかに思える日だ。

酒井景二郎(F.S.D.)
どんなにか俺をなぶつてくれようともしつぽがなけれぁただの女さ
しっぽがあったらどうするのよ?という突っ込みを期待した歌。
要するに、強がって言ってる、負け惜しみなのね。

八百長鑑定団 (八百長鑑定団)
もしヒトにしっぽのあれば相撲道まわしで隠すかさがりとするか
この方の歌は相撲をテーマにされているようだ。
そのために、しっぽとまわしが出会ったのだろうが、この想像は、面白い。
真剣に考え込んでしまいそうだ。

岡本雅哉 (なまじっか…)
はじめからもってる子にはかなわない あどけないしぐさとかしっぽとか
もし、しっぽがあったら、好きな人に振る、という歌は多かった。でも、それじゃあ、あまり面白くないんですよね。
ところが、この歌では、しっぽを初めから持ってる子が当然のように登場する。
そんな子なんていないじゃない、なんて思ってしまったら、だめなのよね。
いったんはこの歌の世界に従って、受け入れないと。
とはいえ、ここの加減が難しい。全くあり得ないこと、と思えば受け入れられない世界になってしまう。
わたしは、一瞬騙される感じで、うんうん、かなわないよね、と思いましたが。


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 2

岡本雅哉

村本さん、こんばんは!

題詠blog2009も開催されているなか、丁寧に2008の歌を読まれていらっしゃるんですね!すみません、なかなか気付きませんでした!

この度は拙歌をとりあげていただき、ありがとうございました。
この歌にだまされてくれて(笑)
あどけないしぐさ、まではありがちな展開にして、
しっぽとか、で字余りにしてみました。しっぽみたいに。

“天使”の歌も丁寧に読み解いてくださり、ありがとうございます。

by 岡本雅哉 (2009-02-11 23:42) 

kiriko

岡本さん、こんばんは。
こちらのブログまで、来てくださって、ありがとうございます。

今年も参加されるのかしら?
また、楽しい作品会えるの楽しみにしています♩
by kiriko (2009-02-12 21:17) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

メッセージを送る

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。