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鑑賞047「ひまわり」 [百題百日2008]

今日の題は「ひまわり」。47番目の題です。
誰でも知っている、夏の風物詩の一つ。歌にも詠まれることの多いものです。
そういう意味では詠み易そうですが、季節のお約束って感じの素材はステロタイプの情景に陥りやすいともいえると思います。
そこから脱しようとする工夫の見られる歌も多かったのですが、頭で作りましたって感じの、心にすとんと落ちてこない歌も多いように思いました。

では、歌ごとの感想です。今日はひまわりの姿の移り変わりに沿って並べてみました。

吉浦玲子 ([湖]湖蓮日日(これんにちにち))
茎太く巨(おほ)きな顔のひまわりををさなきわれはひたに怖れき
子供は大人の感覚では理解できないところに恐怖を感じることがある。
こどもがまだ幼かった頃、着ぐるみの人を見ると恐怖でフリーズしていたのを思い出した。
こどもの感覚からすると、こんなでかくって、無言で立っている人はこわい。
歴史的仮名遣いだと、「ひまわり」は「ひまはり」では?

さかいたつろう (流星文庫)
モノクロのひまわりみたいな顔でするピースを入道雲に見られた
投稿の不備で再投稿されたようだが、わたしは推敲前の、この作の方がいいと思った。
「モノクロのひまわり」という比喩がいい。

柴やん (明日はきっといいことがある)
大輪のひまわりのなかは迷路にて西へ東へ出口は見えず
向日葵の迷路はあちらこちらにあるようで、それを詠んだ歌も多かった。
この作の迷路はひまわりで作った迷路ではなく、一本のひまわりの中にある迷路。種ができるあたりがそのように思えてくる。
向日葵の中で迷っている感覚が作られた迷路以上に迷路で面白いと思った。ただ、下句はもう少し工夫できそう。

幸くみこ (わらびもち食べたい)
ひょろりっと日陰のひまわり 植えたのは私だけれど誰にも言わない
明るく元気であるものの代表であるようなひまわりだが、作中の人物はそれを日陰に植える。当然、生育はあまりよくなく、ひょろりと育ち、しかも、そのことを「誰にも言わない」。マイナス思考のマイナスベクトルの行動をとるわけだ。明るいものがいつでも、皆に、心地がいい訳ではない。

村上きわみ (北緯43度)
みつみつと種子ふとらせるひまわりに見下ろされ(ごめんとてもくるしい)
こちらも、明るいものがつらい作中の人物である。
こちらのひまわりは種子まで太らせている。「みつみつ」に、感じがよく出ているなあ。読んでいて、息苦しくなってきそうだ。
この「ごめん」はひまわりに謝っているのではない。この状況についていけないって感じを表すつぶやきだろう。

西中眞二郎 (しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳)
嵐近き雨降る午後をひまわりはさまざまな向き指して萎れる
「嵐近き雨」から、激しく降ったかと思うと、ちょっと小ぶりになり、そしてまた、突然どしゃ降り、といった雨の様子が思い浮かべられる。
その中で萎れる向日葵の様子もよく分かりつつ、どこか、心象風景のようでもある。

やましろひでゆき (短歌とか短歌とか短歌とか)
ひまわりの種食べながら君の声鸚鵡になって繰り返してみる
向日葵の種を食べる歌は案外多かった。そして、鸚鵡になったり栗鼠になったり。
その中で、ちょっとさびしげなこの歌が気になった。
「きみ」は作中の人物にとって、親しくなりたいけれど、あまり親しくない人、あるいは、もう、言葉を交わさない関係人ってしまった人。
残された、数少ない言葉を繰り返すしかない作中の人物がいる。

翔 (ノーベル賞にほど遠く・・・)
ハムスターのひまわりの種子棚にあり2・3個残し捨ててしまおう
これは読者にとって理解不能な部分が残されており、そこが逆に魅力となっている歌だと思った。
ハムスターがいなくなった後に残された餌なのだろう、というところまでは分かる。しかし2、3個残す、という行動がよく分からないのだ。(中点ではなく、読点を打つのが普通だと思うのだが)亡くなったハムスターを偲ぶため、忘れないために、かと一応は思うのだが、2、3個という妙に具体的な数字がひっかかり、何か特別な意味があるのだろうかと、謎のように残ってしまうのだ。

梅田啓子 (今日のうた)
トラクターに掘り起こされし広き野にひまはりの茎のあちこち刺さる
ひまわり畑の種を収穫したあとの風景だろう。見たことのない読者にも、その最後の姿をよく伝える歌だと思う。



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コメント 4

sora

希理子さんお久しぶりです
かつてお師匠様とお慕いしていた者ですm(__)m
ご無沙汰いたしておりました

裏庭の赤いひまはりうなだれり妹の飼ふ犬孕む夏  希理子さん

希理子さんのひまわりのお歌素敵ですね 
ひまわりの赤い色と、お腹の大きな犬の横たわるけだるさが猛烈な暑さを想像させますね

赤いひまわりというものがあるのを初めて知りました
ギリシャ神話の女神にちなんでつけられた、チトニアというのが正式名称なのだそうですね
検索で調べてみました(;^_^A

題詠は参加表明だけして、とうとう一首も投稿することが出来ませんでした
天国の娘に近くあるために野の向日葵の高さが欲しい  sora
by sora (2008-12-22 11:09) 

kiriko

soraさん、こんにちは!
ハンドルネーム、変られてます?
インスピレーションに参加されてた方じゃないかと思うのですが。(違っていたら、ごめんなさい)
私の歌をお読みくださって、ありがとうございます。
最近は、ひまわりと言っても、いろいろな種類があるようです。

soraさんの歌・・・。
ブログにもお邪魔しましたが、お辛いことでしたね。
なんと言葉をかけたらいいか…。
どうぞ、天国の娘さんに届くように、歌をお詠みください。
来年は、ぜひ、題詠Blogでも、お歌を拝見したいです。

by kiriko (2008-12-22 21:22) 

sora

希理子さん、覚えていてくださったんですね
もう、4,5年になりますかしら 
希理子さん宅のインスピレーションや、F短歌の歌会などでお世話になりました

すみません、その頃のHN忘れてしまったんですよ
あまりに辛いことがあるとニンゲンって記憶が飛んでしまうようです
何だかあちらこちらで思い出せないことがあるんです・・単なるボケかしらん?

励ましのお言葉ありがとうございます
今は感情のまま直接的な歌しか詠めませんが、それを癒しの作業(グリーフワーク)としていきたいと思っております
お邪魔いたしました
by sora (2008-12-24 10:35) 

kiriko

あ、やっぱり。 思っていた方のようです♪

思い出せないことは、思い出さなくてもいいことですよ。きっと。
新しい気持ちでスタートしなさいということかもしれませんね。
難しいことは分かりませんが、人間は忘れることの方が大事らしいですし。

>癒しの作業(グリーフワーク)
そうですね。
歌が力となりますように!

どうぞ、今後とも、よろしくお願いいたします。
by kiriko (2008-12-24 21:45) 

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