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鑑賞096「模様」 [百題百日]

今日、96番目の題は「模様」です。大きく分けて、様子といった意味で使われているものと、洋服や生地の柄といった意味の2つで使われていました。

その、柄の中で、一番人気は圧倒的に「水玉模様」でした。一番使いやすそうではありますが、昔、人から聞いた、「心が迷っている時は水玉模様を選ぶ」という言葉を、ふと、思い出していました。ずっと、そんなわけ、ないじゃん、と思っていたのですが、こうやって、いくつかの歌を眺めていると、それも、一理ありそうな気がしてきました。

ところで、私が「水玉模様」というたびに子は冷笑します。というのも、ファッション用語としてはもう、死語扱いだそうです。今の子はドット柄って言うんですね。でもでも、ついつい口から出るのは「水玉模様」。このへんが、とってもおばさんだそうです。

 

それでは、まずは自然の様子の歌から。

 

(春畑 茜) (アールグレイ日和)

しばらくは雲の模様を眺めゐむ世に在りしひとりひとりを胸に

「世に在りし」なので、もうこの世の人ではない、人たち。

人は雲を眺めていると遠いところに魂がさまようものらしい。

 

(佐藤紀子) (pocoapoco)

空模様怪しくなりて海よりの風がポプラの葉を鳴らしゆく

ポプラの葉は小さいせいだろうか、わずかな風でもさわさわと鳴る。

ポプラの木はキリストの磔刑に使われた木という説があって、その罪悪感から震えのやまない木、という話がある。そういうことも思い出させて、少し不安のよぎる音のような気がする。

 

(寒竹茄子夫) (鮎と銀杏)

すでに冬模様の辺彊 雪嶺のふもとにつめたき欅を撫づる

厳しい冬なんだろうが、シルクロードの過去の華やぎのイメージが紛れ込む。

 

(今泉洋子) (sironeko)

傷つきし心模様のジグザグに鋭き切り口の皿のオレンジ

「心模様」なんて、歌に入れるのはかなり難しいだろうと思う。が、この歌では、そのイメージとしてのジグザグに、具体的な皿のオレンジが呼応していて「心模様」が具体的な物のように感じられる。

 

続いて、柄、文様の歌。

 

(西中眞二郎)  (しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳)

トラキチの友に祝いの葉書書く黄黒の縞の模様を付けて

葉書を書いている人とトラキチのお友だちの間の呼吸のようなものが感じられる。

 

(月原真幸) (さ か む け の ゆび き り 。)

足もとに水玉模様ちらばってビニール傘をひらいて走る

足もとにいくつも描かれる円の上に傘の(ほぼ)円を重ねる。透明な傘なので、もう一つの水紋のようでもある。雨の日のほの明るい感じが魅力的。

 

(平岡ゆめ) (le petit cahier)

捨てられぬ水玉模様のブラウスに思い出せない思い出のあり 

「思い出せない思い出」って、あるなあ。ブラウスを見れば心になんかが浮かぶのだが、形を取らないままに心のどこかに引っかかってしまう。思い出せれば案外簡単に整理もつくのだろうが、思い出せないだけに、余計に捨てられないものも、あるのだ。

 

(橘 みちよ) (夜間飛行)

マホメットの祝福の印Mの模様わが猫にありその頭を撫でつ

神の使徒のようにも思われる猫だが、作中の人物はイスラム教徒ではないだろう。

猫の持つ不可思議さがその額のMを異教の祝福のしるし、と見ることで、より深くなる。

 

(黄菜子) (月待ち人の窓辺)

「おゆびさんの模様」と言いてべたべたとガラスに触れいし子も二十歳なり

子供って、思いもかけない遊びをするものだが、やがては、それも過去の事に。

あの頃にはそんなきたない手で触ったら掃除が大変じゃない、とうんざりした母も子が成人するような年ごろになると、その窓ガラスが無性に懐かしくなる。あの時の指の模様を残しておいたらよかった、ぐらいのことも思っているかもしれない。

 

(翔子)  (花こみち)

結び目がほどけて模様花開く大風呂敷に深紅の牡丹 

開かれることで現れる牡丹はただそこにあるままの牡丹よりずっと印象的である。

その場で花がふわりと開いたような感じがするのだ。

歌としては、お題ではあるのだが、「模様」が不要だろうと思う。

 

(岡元らいら) (31-題詠blog2007-)

街で見た模様が何かに似てたんだ 君かな 違う やっぱ君かも

どこがどうって言う訳じゃないんだけど、なんだか似ているって思うときがある。

こんな風に似ているって思うのは関心のある人限定。ふだんから、気に留めているんでしょうね。

 


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コメント 2

佐山みはる

きりこさん、こんにちは。
「露」「祝」につづいて「模様」を取り上げていただきありがとうございます(^^)
地味な歌ばかりなので、感想をもらえてうれしいです。
無邪気でかなり甘えん坊だった息子も、いっちょまえにヒゲなんて生やしております(笑)
by 佐山みはる (2008-02-10 12:49) 

kiriko

佐山さん、こんにちは。(まだこの名前、慣れな~い!)
私も同じ年頃の息子がいるので、時には似たようなことを感じたりもするのだろうなあ、と思いながら読んでいます。
ふふ。指の指紋を喜んでいらした子供さんも、ヒゲですか♪ それも、ある意味可愛いかも。
by kiriko (2008-02-10 17:51) 

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