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鑑賞092「ホテル」 [百題百日]

本日の題は「:ホテル」です。一言にホテルと言っても、ラブホテルビジネスホテルから老舗のホテルまで、いろいろありますね。そのためでしょうか、場面がうまく想像できない歌が割にありました。

自分で歌を詠む時にはこんなホテル、とイメージして歌にしているのだと思いますが、それが歌にある情報だけで読者に伝わるかどうか、いちど客観的に歌を見直す作業が必要なのではないでしょうか。

他の歌でも同じことは言えるのですが、作者の思い込みが働きやすい題のようで、気になりました。

また、固有名詞(ホテルの名前)があまり効果的ではない歌も結構多かったように思います。知っている名前ならばともかく、固有名詞を出してもイメージが絞られないというか、名前だけではどんなタイプのホテルか想像できないというか、そんな歌が目につきました。

 

最初にとりあげる2首はホテル以外の場所を詠んだ歌。

 

(西中眞二郎)  (しなやかに、したたかに、無責任に・・・西中眞二郎雑記帳)

華やかなロビー広がり人集い火葬場いまやホテルめきたり

上句、てっきりホテルの描写かと思ったら、火葬場につながる。火葬場まではあまり行く機会がないのでこのような風景は未見だが、最近の葬儀場のふかふかのじゅうたんから、容易に想像できる。そこの人たちは皆、人の火葬が終わるのを待っているという共通項にくくられるのだと思うと、その、ホテルのような華やかな場と似ているということに、なんとも言えぬ気持ちになるのだ。

 

(月原真幸) (さ か む け の ゆび き り 。)

散乱も雪崩も堆積層もないホテルのような部屋で暮らしたい

ホテルの部屋と自分の住居との対比の歌はいくつかあったが、この歌の場合、上句での戸外の風景へのミスリードが効果的。

 

(春畑 茜) (アールグレイ日和)

いつしらにかの一族も滅びたりホテルの椅子に思ふひととき

このホテルは歴史あるホテルに違いない。アンティークと言ってもいい椅子も想像できる。

というのも、この作中の人物が、一族の滅びという大きな時の流れを思い浮かべているから。

 

(大辻隆弘) (大辻隆弘 題詠100首のために)

シリアルを汲みたる乳に浸しつつ朝のホテルの時を逝かしむ

この歌、「汲みたる乳」がいいんですよね。昔の暮らしのような、ゆったりとした時の流れを感じる。

実際のところは、ミルクを汲むという行為をする朝食となると、ホテルバイキングではないかと思うのですがね。

 

(天国ななお) (お月様は許さない)

この子とは二度とは来ないホテルでも割引券は受け取っておく 

他の子と来るかもしれないから貰っておく、ということなんだろうが、この歌の面白さは作中の人物のセコさが前面に出ていることだと思う。前後の作から考えると、この人物はたぶん男性だと思われるので、余計にそう思う。

 

 (砺波湊) (トナミミナト2007)

備え付けのレターパッドで鶴を折りホテルの窓辺に止まらせておく

手持無沙汰なホテルの時間。備え付けのレターパッドという小道具が生きている。


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